1911161500(SNM上海)

 10ヶ月と2週間ちょっとぶりのSleep No More観劇。

 思えば、Sleep No Moreを初めて見たのが2016年の2月閏日。そこから何だかんだと回数を重ね、こんなに間が空いたのは初めての事。

 上海SNMでは、この10月に大きなキャスト変更があった。この2年で30回ほど上海SNMを観て、当然お気に入りのキャストもたくさんいたが、そのほとんどが卒業してしまった。だから、今回の観劇はなにかまったく新しいショーを見るかのような……。以前までは出ていたら必ずフォローしていた俳優がいたので、今回はそれに縛られない観劇だった。

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きんちょうする

 15時の回を観るために、14:15には列に並んだ。前には数人。以前よりも常連が減ったように見える。列の前方に並ぶことに囚われなくなったのかな。

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 14:30か40ころには、中のバーに通された。Manderley Barはすっかり冬仕様の飾り付けだった。

 一番時間の早いチケットを買うと、数種類のドリンクの中から一杯飲めるが、私のお気に入りだったカクテル「古典 old fashioned」はメニューから消えていた。なんて浦島太郎!!かわりに「曼德雷」というカクテルを頼んだ。

 Woman In Barがステージに上がる。私もカクテルをおいて入口に向かい始める。通路のカーテンが開く。ポシェットに鍵をかける。仮面を受け取る、着ける。なんだ、周りに5人しかいない。Woman In Barが登場して、エレベーターに乗る。最後に降ろされる。以後ネタバレ。

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 これは以前からのルーティンなのだけど、初回はどの階で降りようが私は3階のDuncanの部屋へまっさきに向かって、Duncan、Malcolm、Banquoが祝賀パーティへの支度をするシーンを見るんだ。

 この日はDuncanがGregory、MalcolmがAdamだった。どちらも上海では新しいキャスト。AdamはNY版にも出ていたけど。

 BanquoとMalcolmは一足先に奥のローテーブルに向かい、会話を楽しむ。そこにDuncanが加わって、3人で乾杯。上機嫌のDuncan。そして流れるTuxedo Junction!3人はグラスを置いて、階下に向かう。私もそれに続く。フォロワーはまだ私ひとり!この一番最高に大好き!!

 

 1ループ目はBanquoをフォローすることに決めていた。Banquoを演ずるのはJames。私はBanquoの動きを果たしてちゃんと覚えているだろうか…リハビリだね。

 パーティのシーンはたのしい。このシーンも大好き。いつのまにかDuncanのポケットの中に滑り込むペンダント。Sexy Witchをエロい目で見るMacduff。Duncanと踊るLady Macbethが、肩越しにひっそりと、バルコニーにいるMacbethと目を合わせる瞬間。フォローするキャラによって見る場所は変えるけど、空いていればテーブル下が好きかな!

 そうそうこのあとは2階。覚えてる覚えてる。でも不思議なことに流れを文字にしようとすると順番忘れちゃうんだよね。体だけが勝手に動く。次はどこに向かうのかなんとなくわかる。

 JamesのBanquoは、リセットされてBallroomでMacbethと再び出会う前後の表現がとっても好きだった。Banquoのループ全体の中でも間違いなくお気に入りのシーンではあるけど、でもやっぱりすてきだった。マリア像へのいのり。真っ暗な闇を切り裂くような強い光(ここの演出もすき)。霊としてこちらとあちらの狭間を彷徨っていたBanquoが、朝日の強い光で清められるかのような。そして今までのことを忘れるような。

 個人的な感覚(セオリーではない)としてSNMの世界はミュージカルのエリザベートみたいな、死んだひとびとが何度も同じことを再現しているものだと考えている。この感覚はもしかしたら、以前SamのDuncanに連れて行ってもらった1:1の内容とそのあとの演技にも影響を受けてるかも。やっぱり私のその感覚にマッチする演技、ストーリーラインを作っている俳優・パートには惹かれる。演出家や脚本家が本来、何を意図して何を考えていて、その意図と私の考えが重なっているかどうかは別として(現国の授業でこの手の設問は非常に苦手だった悲しい思い出がある)。

 1:1にも選んでもらった。序盤は全体のお客も少ないからフォロワーが大変少なかったが、この時、カウンターの前はけっこう人だかり。だから選ばれたのは、ずっと見ていたからかなという感じ。彼は多分しつこい客に優しいタイプだ(笑)(どうすれば1:1に選ばれるかと言う話は「演者の気分による」で決着がついているのでやめておきましょう)。

 正直なはなしBanquoの1:1って中華キャストのしか受けたことなくって、何ていってるか謎だったんだ。いや、部分はわかるよ。だから今回、初めて欧米キャストで受けて、あー、それだったのね、と。ありがとうございました。

 Banquoが鏡の前で蝶ネクタイをつけてDuncanの部屋に入ったら、もうここからは冒頭のシーンに戻るので、3階を離脱。キャストの確認の意味も込めて4階へ。

 

 完全にノープランだったので、大好きなTaxidermistをフォローすることを念頭に、Bar(伊楽園)にむかう。ここで出待ちをしていればTaxiが来ることはわかりきっている。

 シーンとしては、たしかHecateとCunning Man(いわゆるFulton)のくだりが始まっていた。HecateはLee Shao Uen、CunningはRobert

 この段階では「新しいキャストだなぁ」くらいの感想だったのだが、その後、Hecateがステージに上がっている時、下手側に控えているCunningの表情を見たときに気持ちが変わった。

 

 この時のCunningの振る舞い方は演じる俳優によって様々。静かにHecateを見つめるもあり。寝てるやつもいる(Zhang XuehaoのCunningとか笑)。あまりCunningをフォローしたことがなかったからこそかもしれないが、Rob Cunningは、ポケットから小さなブリキ缶を取り出して開くと、中に入っている蛇の皮を嗅いで、白目を向いていた。何この人、と。え、トリップしてらっしゃる?

 そこからもう、決めたのね。この人をフォローすると。実はCunningをあまりフォローしたことがなく、付いて行くのに精一杯だった。だからCunningがどういう人物で云々などと思いを巡らせる隙もなかったし、満足なフォローではなかった。正直なところ。

 でも、いつもお決まりのキャラクターしかフォローしていないので、新鮮さもあった。 上海のCunningはNYの仕立て屋とはまったく別のキャラクターで、わたしは今だにこやつの職業がわからない。仕立て屋?医者?薬屋?Hecateの手下?何者なの、Cunningって。ほんとうのCunningってどこにあるのって。

 かれの人生、まったく悲愴を感じていなさそうなのだが、よーく見ると、やはりかれもかわいそうな人物だった。きっとかれには人生の主導権が自分にない。きっと、だれかに都合のよい人物なのだと。

 ヘビ皮嗅いでイッた後と前とで振る舞いの違いは?とか、白衣を脱いだ時の憑き物が取れたような顔は?とか。5階のMatronとのあれこれも正直イマイチよくわからないしね。とにかく、今後要検討。わたしはCunningを知らなすぎる。次もRobertが演じる時に遭遇したらフォローしたい。

 ついでに言うとCunningの1:1も初体験。よくできてるわ。あ、私地面に打ち付けられたのね。と。渡されたもの、なにかのミッションかと思ったけどがん無視して次のループはふつうにTaxidermistを追うことにした。

 

 TaxidermistはLi Haocheng。以前も見たことがあって、Hecateの力に抗っているかのような振る舞いが面白いなと思っていた。

 たとえば、いつも鹿のツノにかけている赤い糸のチャーム。あれをHecateが来た時にドア越しにかざすのはほかのTaxidermistもやっていることだと思うのだけど、LHCのTaxidermistはそれを結界のごとく使っていた。ほかのキャストは不思議な力に惑わされている…というようなイメージだったけど、かれは魔女の力が自分に及ぶことを拒むような振る舞いだった。

 実際、TaxidermistがHecateの姿を実際に見るのは薬屋で目薬をさして気が触れてから?うーん、そうなってくるとわたしはSpeakeasyを全然フォローできていないからそっちも課題になってくる。

 LHCのTaxidermistで面白かったところは、3ループ目だったからだと思うけど、最後にハンカチを折ってボートにして、部屋のなかで進めていた。これも昔Sam BoothのTaxidermistがやっていた粘土の蛇のくだりと同じようにきっと深い意味はなく、やったりやらなかったりなのかもしれないが、ほかのエッセンスからの引用が上手いから、意味深で面白く映るのかもしれない。

 最後はどうしてもMan In Bar、Joe as ParisのOld Black Magicが聴きたかったので、Ballroomのラストシーンには立ち寄らずManderley Barに戻ってきた。Instaで見かけて、あまりにもうますぎてというか好みの声すぎて、必聴!と思っていたので、聴けて大満足。

 

 これで久々のSleep No More一本目は終わり。とっとと外に出て、2本目に備えることにする。

 

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キャストめも(不完全)

Macbeth - Nicholas

Lady Macbeth - Natalie

Macduff - David

Lady Macduff - Laure

Duncan - Gregory

Malcolm - Adam

Banquo - James

Hecate - Lee Shao Uen

Boy Witch - Luca

Bald Witch -  Yevgeniia

Sexy Witch - Sarah

Poter - Steven

Danvers - Ding Yi

Agnes - Viola

Groom - Daniel

Bride - Cai Wenjun

Cunning Man - Robert

Taxidermist - Li Haocheng

Speakeasy - Antonio

Nurse - Jessica

Matron - Pin-Chieh Chen

Anna - Wang Wen-lin

MIB - Joe

WIB - Zhang Ruiyi